【まずは一言】
息子いいやつだな
【もうちょっと詳しい感想】
すごい不思議な構成の映画だったのよ。
画面が2つにわかれててA面とB面が同時進行してる感じで、観始めてすぐになんか酔いそうだなと思っていったん寝かせてたんだけど、ちゃんと全部観たわ。
高齢夫婦の話で、奥さんは認知症で旦那さんも心臓病があってでも二人でなんとか支え合って生活してて、みたいな感じなんだけども、なんかずっとひやひやするんだよね。
二人とも高齢で足取りもおぼつかないところあるし、コンロに火かけっぱなしだったり、シャワー出しっぱなしだったり、なにか起きるんじゃないかと結構気が気じゃないんだわ。
奥さんは意識がちゃんとしてるときとそうじゃないときの波があるから、旦那さんも苦労してるわけよ。
たまに息子が自分の子供連れて様子見に来てくれるんだけど、息子がいいやつでさぁ。会話の感じからすると、昔ヤク中で精神病棟に入れられてたらしいけど、すっかり更生したみたいだし。と思ったらヤク売ってたんだけどさ。まあそこはいったん目をつぶるとしてね。
自分の親に献身的に寄り添ってあげてるし。怒ったりわめいたりするわけでもなく、根気強く親と会話してるし。いやぁなかなかできないことだと思いますよ。
3人で会話してるシーンで、奥さんが「私は死んだほうがいい」「私のことは捨てていって」って言うんだけど、あんなん胸が締め付けられるって…。いくら病気でも自分の親がそんなこと言ったら号泣待ったなしだよ。
旦那さんのほうは心臓病が再発して先に逝ってしまうんだけど、私はてっきり奥さんのほうが先かと思ったんだよね。
でも旦那さんが亡くなってしまったあと、ずっとそばにいた旦那さんがいなくなって静かに取り乱してる奥さんを見て涙が出たですわ。
息子もおそらくずっとやってなかったであろうヤクにまた手を出してしまったりして切ない。それを子供が陰から見てたのも切ない。
旦那さんが亡くなってからどれくらい時間経ってるのかわからないけど、そんなに間をあけずに、後を追うように奥さんも旅立ってしまってね。
そのあと物でいっぱいだった家から少しずつ物がなくなっていって、空っぽになった家が映って終了した時には結構泣いてたよ。
映画の中に劇的な何かがあるわけじゃないけど、心に響いた作品だったな。
でもちょっと不憫だったのが、息子の子供・キキね。
まだ3、4歳くらい?なんだけど、ミニカーを机に叩きつけて遊んでるときに「うるさい!」って何回も怒られてかわいそう。私がキキの立場だったらおじいちゃん嫌いになってるわ。
↓イタリアのホラー映画監督が主演してる。